ブログ一覧に戻る
マネー・税金2026-07-28 公開読了時間: 11 分

2026年 永住許可の新基準案:年収・年金ゲートを解説

報道によると、永住許可では日本人世帯の平均を上回る年収や厚生年金30年水準の年金見込が論点に。何が報じられ、何が未確定で、どう試算するかを整理します。

YenWise Editorial

在日外国人向けパーソナルファイナンス調査

公開日 2026年7月28日最終確認 2026年7月28日編集方針について
#permanent-residency#pr#immigration#pension#income#永住

2026年7月末、主要各紙は出入国在留管理庁(ISA)が永住許可ガイドラインを厳格化する案を報じました。従来からある「独立の生計」をより数値的にし、「国益適合」でも日本語能力や子どもの就学などを具体化する、というのが骨子です。永住を考える外国人にとっては、報道の事実関係を冷静に読むことと、案を法律のように扱わず数字を感度分析することの両方が必要です。

2026年7月下旬時点で、数値付きの確定ガイドラインは未公表です。入管庁の現行ページは定性的な基準のままです。本稿の数字はすべて暫定です。

変わらない三つの法律上の柱

入管難民法上の永住許可の柱は、これまでどおり次の三つです。

  1. 素行が善良であること — 前科、納税・年金・健保・届出義務の履行など。
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能 — 公共の負担にならず、将来も安定した生活が見込まれること。
  3. 日本国の利益に合すること — 在留歴や社会への適合などを含む総合判断。

今回の報道の焦点は、主に(2)と(3)をより具体化することであり、第四の柱を新設する話ではありません。

報道された金銭基準

1. 日本人世帯の平均を上回る年収

朝日・読売・毎日/共同などの報道では、申請者は原則として日本人世帯の平均を上回る水準の年収に継続して達していることが求められる、とされています。どの統計を使うかは未公表です。解説では厚生労働省「国民生活基礎調査」の1世帯当たり平均所得575万2千円(2024年所得)がよく引用されます。同調査の中央値はより低く(約451万円)、平均=典型ではない点に注意が必要です。

未解決の論点は多いです。個人所得か世帯所得か、「継続して」が何年分か、若年層で収入不足を資産で補う場合の基準(朝日は資産による補完や若年層への配慮に言及)などです。

2. 厚生年金30年水準の年金見込

第二の論点は、将来の年金受給見込が、当該年収水準で厚生年金に30年加入した場合に受け取れる額に達することです。不足する場合は預貯金などの金融資産で補える、という整理が報じられています。

30〜40代で来日した人にとって影響は大きく、十分な年収でも「30年の厚生年金キャリア」を退職までに作れない場合があります。試算には、過去の厚生年金・国民年金の月数、今後も厚生年金で働く予定年齢、任意でねんきん定期便の報酬比例部分が必要です。

両方の基準は、当サイトの永住許可 新基準シミュレーターで仮定を変えながら試せます。非公式であり、結果は報道段階の見込と明示しています。

配偶者ルート:期間延長の報道

現行ガイドラインでは、日本人・永住者・特別永住者の配偶者は、おおむね婚姻3年かつ在留1年で申請できる特例があります。報道ではこれが婚姻5年・在留3年に延びる、とされています。新基準の下で配偶者の独立生計免除がどうなるかは、明確な報道がありません

国益適合:日本語・制度理解・就学

報道された案では、国際的な「自立した言語使用者」レベルの日本語、日本の制度・ルールの理解、義務教育年齢の子どもを就学させていない場合の消極評価なども論点です。これらは計算機で点数化しにくく、家族によっては年収以上に重要です。

適用時期:紙面で表現が分かれる

複数紙は2026年10月1日前後の改定と、2027年4月申請分からの適用を伝えています。読売系は「年収は10月、その他は翌年4月」、朝日系は「10月1日改定・翌年4月申請から(年収は当年4月以降申請に遡及の可能性)」など、書き方が一致しません。正式文案が出るまで、単一の施行日に人生設計を固定しない方が安全です。

非公式ツールが年金基準をどう近似するか

入管庁が計算式を出していないため、透明性の高いツール(YenWise や Sam Yip 氏の公開シミュレーターなど)は次のような簡略モデルを使います。

  • 標準報酬月額・賞与の上限で報酬をキャップする
  • 簡略な係数で報酬比例部分を月単位に積み上げる
  • 世帯平均所得 H での30年分を中心に基準 Bを作る(基礎年金は30年按分または満額)
  • 過去加入+将来就労から見込 Pを出し、不足 S = max(0, B − P)
  • S に年数(例:25年)を掛けて資産目安にする — この換算は報道にない仮定

政府が表を承認したわけではない、という前提を崩さずに、「65歳まで働くとどうなるか」「中央値を H にするとどうなるか」を比較できます。

今すぐできること

  1. 税金・健康保険・年金の未納がない状態を維持する(素行要件は不変)
  2. 最新のねんきん定期便と課税・納税証明を整理する
  3. 永住許可 新基準シミュレーターで年収とキャリア年数を感度分析する
  4. 配偶者ルートなら婚姻5年・在留3年の報道を踏まえ、専門家に相談する
  5. 入管庁の永住ガイドラインで正式文案とパブリックコメント結果を追う

関連ツール

本稿は情報提供であり、法律相談ではありません。個別事情は、最新の入管実務に詳しい行政書士・弁護士にご相談ください。